シャンプーがアルカリ性という誤解と、美髪のpHバランスを徹底解説
こんにちは!らむねです。
最近、SNSや美容雑誌で「ヘアビネガー」というアイテムをよく見かけませんか?「髪がサラツヤになる魔法の水」なんて呼ばれていたりして、気になっている方も多いのではないでしょうか。
今回は、この注目のヘアビネガーについて、その正体から効果的な使い方、そして多くの方が抱える「ヘアケアのpHに関するギモン」まで、コスメコンシェルジュインストラクターの視点で徹底的に解説していきます!
いま話題の「ヘアビネガー」とは?伝統美容法から最新トレンドまで
まず、「ヘアビネガー」とは一体何なのでしょうか。
その名の通り、主成分は「お酢(ビネガー)」。果実などを発酵させて作られたお酢を、ヘアケアしやすいように調整したアイテムです。水のようなサラサラとしたテクスチャーが特徴で、主にシャンプーやトリートメントの後、髪の最終仕上げとして使われます。
「え、髪にお酢?」と驚かれるかもしれませんが、実はこれ、最近突然登場したものではありません。そのルーツは古く、フランスなどヨーロッパの女性たちの間で「リンスビネガー(髪をすすぐお酢)」として、何世紀にもわたって親しまれてきた伝統的な美容法なのです。当時は、硬水で洗髪することによる髪のゴワつきや、石鹸シャンプーによるきしみを和らげるために使われていたと言われています。
その伝統的な知恵が、美容大国である韓国のコスメブランドによって現代風にアレンジされ、使いやすく、香りも良いアイテムとして生まれ変わりました。それがSNSを通じて世界中に広まり、今、再び大きなブームとなっているのです。
美髪の鍵はpHバランスにあり!髪と頭皮が”弱酸性”を好む理由
ヘアビネガーを理解する上で欠かせないのが「pH(ペーハー)」という言葉です。pHとは、水溶液の性質を酸性・中性・アルカリ性で示す指標のこと。
そして、私たちの健康な髪や頭皮は、pH4.5〜5.5の「弱酸性」に保たれています。
髪の表面は、うろこ状の「キューティクル」という組織で覆われています。このキューティクルは、髪が弱酸性の状態だとキュッと引き締まり、外部の刺激から髪の内部を守り、ツヤを与えてくれます。しかし、髪がアルカリ性に傾くと、このキューティクルが開いてしまい、髪内部の水分や栄養が流れ出しやすくなります。これが、パサつきやきしみ、ダメージの原因となってしまうのです。
つまり、髪のコンディションを健やかに保つためには、この「弱酸性」の状態をキープしてあげることが非常に重要なのです。
「シャンプーはアルカリ性」は本当?ヘアケア製品のpHを徹底解剖!
さて、ここが今回の本題です。 ヘアビネガーが「酸性」の力で髪を弱酸性に整える、と聞くと、多くの方がこう思いませんか?
「それなら、その前に使うシャンプーやトリートメントは、その逆のアルカリ性なの?」と。
この疑問、実は半分正解で、半分は少し違います。一つずつ丁寧に紐解いていきましょう。
1. 「アルカリ性」のシャンプーも存在する
まず「半分正解」の部分。はい、アルカリ性のシャンプーも存在します。その代表格が、昔ながらの「石鹸シャンプー」です。
石鹸シャンプーは、洗浄力が高く、さっぱりとした洗い上がりが特徴ですが、その性質は「弱アルカリ性」です。そのため、髪を洗うとキューティクルが開きやすく、特有のきしみやゴワつきを感じることがあります。ヘアビネガーのルーツであるリンスビネガーは、まさにこの石鹸シャンプー後の髪を中和するために使われていました。
2. しかし、現代の主流は「弱酸性」シャンプー
次に「半分は少し違う」の部分です。実は、現在市場で主流となっているシャンプーの多くは、髪や頭皮と同じ「弱酸性」に調整されています。
皆さんがお使いの、アミノ酸系洗浄成分や高級アルコール系洗浄成分を主成分とするシャンプーのほとんどは、髪への負担を考慮して弱酸性に設計されています。ですから、「シャンプー=アルカリ性」と一括りにしてしまうのは、現在のヘアケア事情とは少し異なるのです。
3. トリートメントは「酸性」寄り
では、トリートメントやコンディショナーはどうでしょうか。これらは、シャンプーによってわずかに開いたキューティクルを閉じ、髪のダメージ部分(マイナスに帯電)に補修成分(プラスに帯電したカチオン界面活性剤など)を吸着させる役割があります。この働きを効果的にするために、製品自体は「酸性」寄りに調整されていることがほとんどです。
つまり、ヘアケアのpHの流れをまとめると、
- 石鹸シャンプー(弱アルカリ性) → トリートメント(酸性)
- 弱酸性シャンプー(弱酸性) → トリートメント(酸性)
というのが一般的なのです。
ではなぜ、弱酸性シャンプーの後でもヘアビネガーが有効なのでしょうか。それは、洗髪に使う「水道水」が中性〜地域によっては弱アルカリ性であることや、水道水に含まれる金属イオンの影響をリセットし、トリートメント効果をさらに高めるブースターとしての役割が期待できるからです。
コスメコンシェルジュ直伝!ヘアビネガーの正しい使い方と効果的なタイミング
ヘアビネガーの効果を最大限に引き出すための使い方をご紹介します。
- 基本のタイミング: シャンプー、そしてトリートメント(またはコンディショナー)も済ませた、一番最後のステップで使用します。
- 塗布: 髪の水気を軽く切った後、頭皮から毛先にかけてヘアビネガーを直接塗布します。ボトルの先端がノズル状になっているものが多く、頭皮に直接つけやすいです。
- なじませる: 指の腹を使って、頭皮を優しくマッサージするようになじませます。その後、髪全体にも手ぐしでいきわたらせます。
- すすぐ: 髪にぬるつきがなくなるまで、お湯でしっかりとすすぎます。
こんな方には特におすすめ!
- 髪のきしみやゴワつきが気になる方
- 頭皮のベタつきやニオイが気になる方
- 髪に自然なツヤが欲しい方
- カラーやパーマの持ちを良くしたい方
使用頻度は、毎日使っても問題ない製品が多いですが、髪の状態を見ながら週に2〜3回程度のスペシャルケアとして取り入れるのがおすすめです。
化粧品検定にも役立つ!毛髪科学から紐解くヘアビネガーの役割
ここで少し専門的なお話を。化粧品検定の学習にもつながるポイントです。
ヘアビネガーの主成分である「酢酸」には、髪を弱酸性に整える働きの他に、「キレート作用」という効果も期待されています。
水道水には、カルシウムイオンやマグネシウムイオンといった金属イオンが含まれています。これらが髪に付着すると、タンパク質と結合して髪を硬くし、ゴワつきや手触りの悪さの原因となることがあります。キレート作用とは、これらの金属イオンを捕まえて、その悪影響を抑制する働きのことです。
ヘアビネガーを使うことで、髪表面に付着した不要な金属イオンを取り除き、髪本来のしなやかさや柔らかさを取り戻す手助けをしてくれる可能性があるのです。これは、トリートメント成分の吸着をより良くすることにも繋がります。
まとめ:ヘアビネガーを正しく理解して、ワンランク上の美髪を目指そう
今回は、話題のヘアビネガーについて深掘り解説しました。
- ヘアビネガーは、ヨーロッパの伝統美容法をルーツに持つ、お酢を使ったヘアケアアイテム。
- 美髪の鍵は、キューティクルが引き締まる「弱酸性」を保つこと。
- 「シャンプー=アルカリ性」は誤解。現代の主流は弱酸性だが、水道水の影響をリセットする意味でもヘアビネガーは有効。
- 髪を弱酸性に整えるだけでなく、キレート作用によるゴワつき除去も期待できる。
ヘアビネガーは、いつものヘアケアにプラスワンするだけで、髪のコンディションをグッと引き上げてくれる心強いアイテムです。正しく理解して日々のケアに取り入れ、誰もがうらやむようなワンランク上のツヤ髪を目指しましょう!
【免責事項】 本記事に掲載されている情報は、個人の調査や見解に基づくものであり、全ての方に当てはまることを保証するものではありません。化粧品の使用にあたっては、ご自身の肌質や体調を十分に考慮し、必要に応じて専門医にご相談の上、ご自身の判断と責任においてご使用ください。
らむね
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